フィジカルAI
技術スタック分析レポート2026
896社の供給企業データから読み解くフィジカルAIの技術供給構造
フィジカルAI関連の供給企業896社を技術タグとバリューチェーンの2軸から分析。
複数の既存技術基盤がどのように接続してフィジカルAIの供給構造を形成しているかを可視化しました。
896社
供給企業供給企業として分類
773社
技術タグ保有企業レポート集計対象
34
技術コード技術分類
19
バリューチェーン機能レイヤー
896社の供給企業データから見えた6つの技術供給構造
フィジカルAI関連企業896社の供給データから、フィジカルAIの技術供給構造を6つの視点で可視化しました。
最大の単一技術タグは産業用ロボットアーム
249社
認識・センシングはロボティクス・身体性とほぼ同規模
341社 対 348社
SIレイヤーの77.5%が産業用ロボットアーム関連
176 / 227社
技術タグ保有企業の約半数に複数技術タグ
389 / 773社 = 50.3%
AMR・AGV本体・中核システムの85.4%が自動化・マテハンへ
35 / 41社
エッジAIの74.1%が計算基盤・半導体へ
20 / 27社
「フィジカルAI関連企業」の定義について:本レポートの「フィジカルAI関連企業」は、フィジカルAIと明示する企業だけでなく、製造・物流・建設・農業・医療等の業界特化型ロボット、自律制御、センシング、ロボットハンド、アクチュエーター、シミュレーション、エッジAI、ロボットSIer等、今後フィジカルAIの社会実装を担う広義のロボット関連企業群を含みます。
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- 技術供給構造の把握
- 新規事業開発
- 協業先探索
- サプライヤー調査
- 営業先候補の抽出
- 社内共有
本レポートの分析フレーム
前回の「フィジカルAI産業構造・バリューチェーンレポート2026」では、企業が産業のどの機能を担うかを企業ロールとバリューチェーンから分析しました。
本レポートでは視点を「企業」から「技術」へ移し、各企業に付与された技術タグをもとに、フィジカルAIの供給基盤がどのような技術によって構成されているかを分析します。
画像認識、産業用ロボットアーム、AMR・AGV、エッジAIなど、その企業が関わる技術の種類を表します。
認識・センシング、計算基盤・半導体、ロボット本体、自動化・マテハン、SI、販売など、産業内での機能の位置づけを表します。
技術とバリューチェーンは異なる分類軸です。両者を重ねることで、どの技術が産業のどの機能と結びついて供給されているのかを可視化します。
最大の単一技術タグは「産業用ロボットアーム」249社
本データベースでは、産業用ロボットアームに関連する技術タグが249社に付与されており、34の技術コードの中で最大となりました。
一方、上位には画像認識・コンピュータビジョン132社、外観検査AI123社、センサー・知覚システム105社、AMR・AGV91社、異常検知85社など、ロボット本体以外の技術も並びます。
- 本セクションで取り上げる技術タグ(産業用ロボットアーム)
- その他の主要技術タグ
同一企業に複数の技術タグが付与される場合があります。技術タグ別企業数の合計は供給企業896社と一致しません。技術タグはメーカー数ではなく、自社開発・製造だけでなくSI・販売・ソリューション提供等を含みます。
「ロボット本体」と「見る技術」が二大企業群を形成
技術タグを上位グループへまとめると、ロボティクス・身体性が348社、認識・センシングが341社となり、ほぼ同規模の二大企業群を形成しました。
フィジカルAIを「動くロボット」の産業として見るだけでは、供給構造の全体像を捉えきれません。外界を認識・計測する「見る技術」も、ロボット本体に匹敵する大きな企業層を形成しています。
- ほぼ同規模の二大企業群(ロボティクス・身体性/認識・センシング)
- その他の技術グループ
技術グループは複数付与可能です。企業数は市場規模・市場シェアを意味しません。自律制御、基盤モデル・ロボットAI等は分類体系上の留意点または母数の小ささから主要グループ比較では強調していません。
「見る技術」は、画像AIだけではない
認識・センシングの341社は、単一の画像認識技術によって構成されているわけではありません。画像認識・コンピュータビジョン、外観検査AI、センサー・知覚システム、異常検知、3D認識・空間認識、触覚・力覚など、現実世界の状態を取得・認識する複数の技術が重なって企業層を形成しています。
フィジカルAIにおける知能はAIモデルだけでは成立せず、現実世界をデータとして取り込む知覚技術と密接に結びつきます。
本図は本データベース内の技術タグ分布であり、各技術の市場規模・競争力・成熟度を示すものではありません。
ロボティクス・身体性では産業用ロボットアームが突出
ロボティクス・身体性では、産業用ロボットアーム関連が249社と突出しています。
ヒューマノイドやモバイルマニピュレーターなどの新しいロボット形態が注目される一方、本データベースの企業分布を見ると、現在の供給基盤には既存の産業用ロボット技術が大きく含まれています。
この結果は新しいロボット技術の市場規模や将来性を示すものではなく、本データベースに収録された供給企業の技術的な構成を示します。将来性・市場規模の優劣として解釈しないでください。
SIレイヤーの77.5%が産業用ロボットアーム関連
システムインテグレーション(SI)レイヤーに分類された227社のうち、176社(77.5%)が産業用ロボットアーム関連の技術タグを保持しています。逆方向では、産業用ロボットアームタグを持つ249社のうち176社(70.7%)がSIレイヤーにも分類されます。
この結果から、フィジカルAIの実装基盤は、既存の産業用ロボット・FA・ロボットSIの企業群と強く連続していることが読み取れます。
- 産業用ロボットアーム関連 176社 / 77.5% SIレイヤー227社のうち、産業用ロボットアーム関連の技術タグを持つ企業。
- その他 51社 / 22.5% 産業用ロボットアーム関連の技術タグを持たないSIレイヤー企業。
母数はシステムインテグレーションレイヤーに分類された227社です。
77.5%は市場シェアや売上構成ではなく、本データベースの技術タグとバリューチェーン分類をクロスした企業数に基づく比率です。
技術タグを持つ企業の約半数に、2つ以上の技術タグが付与されている
レポート集計対象の技術タグを1つ以上持つ773社のうち、389社(50.3%)には2つ以上の技術タグが付与されています。
この結果は、フィジカルAI関連の企業・製品・ソリューションが、一つの技術だけでなく複数の技術要素を組み合わせて構成されるケースが多いことを示唆します。
- 1技術タグ 384社 / 49.7% 技術タグが1つのみ付与されている企業。
- 2つ以上の技術タグ 389社 / 50.3% 2つ以上の技術タグが付与されている企業。
母数はレポート集計対象の技術タグを1つ以上持つ773社です。
「複数技術タグ=多角化企業」「複数技術タグ=垂直統合」「複数技術タグ=技術力が高い」という意味ではありません。
同じ技術でも産業の中で担う機能は異なる
技術タグは「何の技術に関わるか」を示し、バリューチェーンは「産業のどの機能を担うか」を示します。一つの技術が一つの機能レイヤーに対応するとは限りません。
例えば産業用ロボットアーム関連企業には、ロボット本体メーカーだけでなく、SI、販売、自動化ソリューション等を担う企業が含まれます。この二軸を重ねることで、技術の企業数だけでは見えない「産業の中で技術がどのように供給されているか」が見えてきます。
| 技術タグ \ バリューチェーン | 認識・センシング | 計算基盤 | ロボット本体 | 自動化・マテハン | SI | 販売 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 産業用ロボットアーム | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 54社 | 28社 | 176社/強い結合 | 38社 |
| 認識・センシング | 中心 | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない |
| AMR・AGV | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 強い結合 | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない |
| エッジAI | 主要な結合として扱わない | 強い結合 | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない | 主要な結合として扱わない |
図8は分析フレームを示す概念図です。「中心」「強い結合」は、その技術がどの機能レイヤーと結びついて供給されているかを表します。AMR・AGV、エッジAIの定量値は後続のセクションで示します。「—」は本レポートで主要な結合として扱っていないことを表し、企業が存在しないことを意味しません。
AMR・AGVの供給は「自動化・マテハン」と強く結びつく
AMR・AGV本体または中核システムの開発・提供主体41社のうち、35社(85.4%)がバリューチェーン上の「自動化・マテハン」にも分類されました。
この結果から、AMR・AGVの供給は、既存の物流・工場内搬送の自動化レイヤーと強く結びついていることが分かります。AMR・AGVを独立した技術市場として切り出すだけでなく、物流自動化・マテハンシステムの一部として捉えることで、実装構造を理解しやすくなります。
母数はAMR・AGV本体・中核システムの開発・提供主体41社です。バーの長さは41社に対する比率を表します。
バリューチェーンは複数付与可能なため、各レイヤーの企業数の合計は41社になりません。比率は市場シェアではありません。
エッジAI企業の74.1%が「計算基盤・半導体」レイヤー
エッジ側でAI推論等を行う技術を提供している27社のうち、20社(74.1%)が「計算基盤・半導体」レイヤーにも分類されました。エッジAIは、AIソフトウェアだけで独立して存在するのではなく、AIアクセラレータ、GPU・NPU、SoC、エッジコンピュータなど、計算基盤と強く結びついて供給されています。
また、クラウド・通信・データ基盤や認識・センシングにも複数企業がまたがっており、エッジAIはハードウェア、AI処理、データ基盤を接続する技術領域として捉えることができます。
母数はエッジAIの技術タグを持つ27社です。バーの長さは27社に対する比率を表します。
バリューチェーンは複数付与可能なため、各レイヤーの企業数の合計は27社になりません。比率は市場シェアではありません。
フィジカルAIは新しいAI技術の集合ではなく、複数の既存技術基盤の接続として形成される
本レポートの分析から、フィジカルAIの技術供給構造には4つの特徴が見えてきました。第一に、産業用ロボットを中心とした既存ロボティクスの企業層が厚く存在します。第二に、認識・センシングはロボティクス・身体性とほぼ同規模であり、「見る技術」が大きな供給基盤を形成します。
第三に、技術とバリューチェーンを重ねると、産業用ロボットとSI、AMR・AGVと自動化・マテハン、エッジAIと計算基盤といった強い接続が確認できます。第四に、技術タグを持つ企業の約半数に複数の技術タグが付与されており、一つの企業・製品・ソリューションの中で複数技術が組み合わされる構造が見られます。
技術グループ(企業層)
- 認識・センシング 341社
- ロボティクス・身体性 348社
- 移動・自動化 147社
- 計算・制御 125社
技術 × バリューチェーンの接続
新しいAI技術だけでなく、既存のロボティクス、認識、計算、制御、実装基盤の接続を見る。
技術タグを持つ773社のうち389社(50.3%)には2つ以上の技術タグが付与されており、供給側でも複数技術が組み合わされています。
各技術グループの企業数は重複を含みます。接続比率は本データベースの技術タグとバリューチェーン分類をクロスした企業数に基づきます。
フィジカルAIを理解する上では、新しいAI技術だけを見るのではなく、既存のロボティクス、認識、計算、制御、実装基盤がどのように接続していくかを見る必要があります。
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- 技術供給構造の把握
- 新規事業開発
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- サプライヤー調査
- 営業先候補の抽出
- 社内共有
分析の読み方と限界
本レポートで示す企業数は、株式会社Listerが独自に収集・整備したフィジカルAI関連企業データベース内の企業分布です。以下の点にご留意のうえご覧ください。
-
企業数は市場規模ではない
企業数が多いことは、市場規模、売上高、技術力、競争力、技術成熟度が高いことを意味しません。また、企業数が少ないことも、市場が未成熟であることや、事業機会が大きいことを直接意味しません。
-
技術タグはメーカー数ではない
技術タグは1社に複数付与される場合があり、自社開発・製造企業だけでなく、SI、販売、ソリューション提供等を含みます。技術タグ別企業数の合計はユニーク企業数を超えます。
-
本レポートで取り上げなかった技術について
基盤モデル・VLA、模倣学習・強化学習、自律制御などは、分類体系上の留意点または母数の小ささから、本レポートの技術テーマとしては取り上げませんでした。これらの技術について、本レポートの数値から追加の解釈を行うことは想定していません。
技術分類(34技術コード)
本レポートでは34の技術コードを分析しました。技術グループごとの技術コード・技術名は以下のとおりです。
技術分類の一覧を開く
| 技術グループ | コード | 技術 |
|---|---|---|
| 認識・センシング | TECH_01 | 画像認識・コンピュータビジョン |
| 認識・センシング | ROBOT_14 | 外観検査AI |
| 認識・センシング | TECH_02 | 3D認識・空間認識 |
| 認識・センシング | ROBOT_18 | センサー・知覚システム |
| 認識・センシング | TECH_16 | 異常検知 |
| 認識・センシング | TECH_09 | 触覚・力覚 |
| 認識・センシング | TECH_10 | センサー融合 |
| 認識・センシング | TECH_15 | SLAM・自己位置推定 |
| 基盤モデル・ロボットAI | TECH_04 | 基盤モデル・VLA |
| 基盤モデル・ロボットAI | ROBOT_16 | ロボット基盤モデル・VLA |
| 学習 | TECH_05 | 模倣学習・強化学習 |
| 自律制御 | TECH_06 | 自律制御 |
| 音声・自然言語 | TECH_03 | 音声・自然言語 |
| 計算・制御 | TECH_11 | エッジAI |
| 計算・制御 | TECH_07 | モーションプランニング |
| 計算・制御 | TECH_12 | シミュレーション |
| 計算・制御 | TECH_13 | デジタルツイン |
| 計算・制御 | ROBOT_15 | デジタルツイン |
| 計算・制御 | TECH_14 | 群制御・統合制御 |
| 計算・制御 | TECH_08 | 遠隔操作 |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_01 | 産業用ロボットアーム |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_02 | 協働ロボット |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_03 | ヒューマノイド |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_04 | モバイルマニピュレーター |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_07 | 四足歩行ロボット |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_10 | サービスロボット |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_11 | 医療・介護ロボット |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_12 | 農業ロボット |
| ロボティクス・身体性 | ROBOT_13 | 建設ロボット |
| 移動・自動化 | ROBOT_05 | AMR・AGV |
| 移動・自動化 | ROBOT_06 | 無人フォークリフト |
| 移動・自動化 | ROBOT_08 | ドローン |
| 移動・自動化 | ROBOT_09 | 自動運転車両 |
| ロボット構成部品 | ROBOT_17 | ロボットハンド・エンドエフェクタ |
分析方法・データ定義
分析に使用する分母
| 指標 | 分母 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 供給企業総数 | 896社 | 技術タグ別企業分布 |
| レポート集計対象の技術タグ保有企業 | 773社 | 複数タグ付与率 |
| SIレイヤー | 227社 | 産業用ロボット×SI |
| AMR・AGV本体・中核システム | 41社 | バリューチェーン分析 |
| エッジAI | 27社 | バリューチェーン分析 |
集計ルール
同一企業が複数技術/複数バリューチェーンへ分類される場合があります。そのため、技術タグ別企業数やバリューチェーン別企業数の合計は、ユニーク企業数を超えます。
調査時点・主な情報源
- 調査時点:2026年8月
- 企業公式ウェブサイト
- 製品・サービス情報
- 公式プレスリリース
- 公的機関・共同実証先の公式発表等
出典表記:株式会社Lister『フィジカルAI技術スタック分析レポート2026』
次回以降のレポートでは「業界」「実装主体」の切り口で分析
次回以降のレポートを通して、フィジカルAI産業の構造変化を継続的に観測していきます。掲載タイトルは予定であり、公開内容は変更となる場合があります。
引用・転載について
調査・編集:株式会社Lister
データソース:フィジカルAI関連企業データベース
調査時期:2026年8月
本レポートの数値・図表を引用する場合は、「株式会社Lister『フィジカルAI技術スタック分析レポート2026』」と出典を明記してください。
本レポートは公開情報を基に株式会社Listerが独自調査・整理したものです。内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。
会社概要
| 会社名 | 株式会社Lister |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 永良 慶太 |
| 所在地 | 〒108-0075 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー8F |
| 事業内容 | 製造業領域に特化した市場情報調査・データ提供基盤の開発 |
| 取引銀行 | 三菱UFJ銀行 品川駅前支店 |
| 公式URL | https://lister.jp/ |
| お問い合わせ | maker@lister.jp |
代表プロフィール
永良 慶太
東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了。
株式会社キーエンスに新卒入社。三次元測定機やレーザー顕微鏡などの開発に携わる。画像処理アルゴリズム開発や、工場における検査自動化プロジェクトに従事。その後、ロボット開発スタートアップにて経営企画に従事し、独立。
株式会社Listerを創業後、ITサービス開発を主軸に、BtoB企業向けの営業・マーケティング支援、企業データ整備・提供を行う。現在は、製造業領域の企業情報を活用しやすいデータとして整備・提供する取り組みに注力している。