フィジカルAI 産業構造分析
バリューチェーンレポート2026
1,030社の企業データから読み解く日本のフィジカルAI産業構造
フィジカルAI関連1,030社を15の企業ロール・19のバリューチェーンレイヤーで分析。
ロボット本体だけでなく、認識・センシング、SI、部品、IT基盤、運用まで含め、供給側の産業構造を可視化しました。
1,030社
分析対象フィジカルAI関連の企業・組織
896社
供給企業技術・製品・サービスの供給側
15
企業ロールPrimary Role による分類
19
バリューチェーンレイヤー機能レイヤーによる分類
1,030社の企業データから見えた4つの産業構造
1,030社・組織の企業データをもとに、フィジカルAI産業の供給構造を4つの視点で整理しました。
ロボット本体より「認識」と「実装」の層が厚い
認識・センシング247社、SI227社に対し、ロボット本体147社。
供給企業の42.5%は実装・周辺支援を担う
Implementation 275社 + Supporting 106社 = 381社。
95.2%が1〜2レイヤーに集中
1レイヤー672、2レイヤー309。専門的企業の組み合わせで成立する構造。
AI・基盤モデル層は12社
既存の認識・ロボット・SI層に比べ、AI上流層の企業数はまだ小さい。
フィジカルAIをAI・センサー・ロボット・SI・運用がつながる産業構造として捉える
フィジカルAIは、AIが物理世界を認識・判断し、ロボットや機械を通じて作用する技術領域です。その社会実装には、AI・基盤モデルだけでなく、カメラやセンサー、認識技術、制御ソフトウェア、半導体、アクチュエーター、ロボット本体、システムインテグレーション、運用・保守まで、多様な企業・技術の連携が必要になります。
本ページでは「どの企業が注目されているか」ではなく、「フィジカルAIという産業がどのような機能とプレイヤーの組み合わせによって成立しているのか」という問いから、供給側の構造を整理しています。注目企業ランキングではなく、供給側の産業構造の分析です。
各機能は単純な商流の上流・下流を意味するものではなく、フィジカルAIを成立させる機能の位置づけを示しています。
企業ロールは「その企業・組織は何者か」を表す主要な役割、バリューチェーンは「どの機能を担うか」を表す機能レイヤーとして分けて分類しています。分析対象は1,030社・組織、うち供給企業は896社です。
PDFレポートとフィジカルAI関連企業データベースを無料でダウンロード
本ページの分析内容をまとめたPDFレポートと、分析のもとになったフィジカルAI関連企業データベースを無料で提供しています。
- 産業構造の把握
- 新規事業開発
- 協業先探索
- サプライヤー調査
- 営業先候補の抽出
- 社内共有
最大の企業ロールは「センサー・知覚技術供給」182社と「SI・システムインテグレーター」179社
1,030社・組織をPrimary Roleで分類すると、センサー・知覚技術供給が182社で最も多く、SI・システムインテグレーター179社、ロボット・機器メーカー125社が続きました。導入企業・エンドユーザー121社、部品・ハードウェア供給97社、クラウド・通信・IT基盤75社なども大きな層を形成しています。
ロボットメーカーだけではフィジカルAI産業全体を捉えられない、という分布になっています。
- 企業・組織数が上位3つの企業ロール
- その他の企業ロール
注:企業ロールはPrimary Roleで集計しています。企業数は本DB内の構成であり、市場規模や市場シェアを意味しません。
供給企業896社を構成する3つの機能
896社の供給企業を提供機能で分類すると、Core Supplierが515社(57.5%)、Implementation Supplierが275社(30.7%)、Supporting Supplierが106社(11.8%)となりました。ImplementationとSupportingを合わせると381社、供給企業の42.5%に相当します。
- Core Supplier 515社 / 57.5% 中核的な技術・製品・ロボット・部品・ソフトウェア等を供給
- Implementation Supplier 275社 / 30.7% SI、導入、流通、現場実装などを主に担う
- Supporting Supplier 106社 / 11.8% クラウド、通信、IT基盤、コンサル等の周辺支援
注:構成比は供給企業896社に対する比率です。企業数は本DB内の分類件数であり、市場規模・市場シェアを示すものではありません。
「供給企業=製品メーカー」では捉えきれない
フィジカルAIの供給側には、ロボット・センサー・部品・ソフトウェア等を直接提供する企業だけでなく、複数製品を現場に組み込むSI、販売・ディストリビューション、クラウド・通信、コンサルティングなどが含まれます。実装や周辺基盤を担う企業群が381社(42.5%)と4割超を占めることは、技術単体ではなく、導入まで含めた産業構造を見る必要性を示しています。
フィジカルAI産業は、AI・データ、知覚・制御、ハードウェア、実装、運用、周辺エコシステムまで複数の機能レイヤーで構成される
本レポートでは、供給企業の機能を19のバリューチェーンレイヤーに分類しました。各レイヤーは単純な商流の上流・下流を意味するものではなく、フィジカルAIを成立させる機能の位置づけを示します。1社が複数の機能を持つ場合は複数レイヤーを付与しています。
INTELLIGENCE / DATA
- AI・基盤モデル12
- 学習データ・シミュレーション28
- クラウド・通信・データ基盤105
PERCEPTION / CONTROL
- 認識・センシング247
- 制御・ロボットOS89
- 計算基盤・半導体38
PHYSICAL HARDWARE
- 駆動・アクチュエーター71
- ハンド・エンドエフェクタ24
- 機械・構造部品32
- ロボット本体147
IMPLEMENTATION / DELIVERY
- 自動化・マテハン104
- システムインテグレーション227
- 販売・ディストリビューション96
- 運用・保守43
ECOSYSTEM / USE
- 導入・利用124
- 研究・標準化6
- 資本・金融7
- コンサル・認証・専門支援34
- その他8
数値は各レイヤーに分類された企業数(単位:社)です。バーの長さは最大レイヤー(認識・センシング247社)を基準としています。
各レイヤーの企業数は重複を含みます。レイヤー間の単純合計は分析対象企業数と一致しません。
ロボット本体より厚い「見る」と「つなぐ」
フィジカルAIという言葉からは、ヒューマノイドやロボット本体が想起されやすいです。しかし本DBの企業分布では、認識・センシングとシステムインテグレーションがロボット本体を上回っています。物理世界で動作するシステムには、センサーや画像認識による「見る機能」と、ロボット・周辺設備・ソフトウェアを現場要件に合わせて接続する「つなぐ機能」が不可欠です。
この構造は、フィジカルAIを「ロボットメーカー産業」として捉えるだけでは不十分であることを示しています。産業全体を理解するには、知覚・制御・部品・IT基盤・SI・運用まで含めたエコシステムを見る必要があります。
- クラウド・通信・データ基盤 105社
- 自動化・マテハン 104社
- 販売・ディストリビューション 96社
- 制御・ロボットOS 89社
上記も含め、多様な機能レイヤーが産業を構成しています。各レイヤーの企業数は重複を含み、レイヤー間の単純合計は分析対象企業数と一致しません。
SIレイヤーの77.5%が産業用ロボットアーム関連
システムインテグレーションレイヤー227社のうち、産業用ロボットアーム関連技術を持つ企業は176社(77.5%)でした。技術分類の根拠には、産業用ロボットシステム、FA設備、溶接・搬送・組立ロボット、ロボットSIなどが含まれます。
フィジカルAIの社会実装は、まったく新しいプレイヤーだけでゼロから形成されていくものではなく、製造現場の自動化を担ってきたロボットSI・FA企業の蓄積の上に形成されていくことが示唆されます。
母数はシステムインテグレーションレイヤーに分類された227社です。
77.5%は市場シェアや売上構成ではなく、本DBの技術タグとバリューチェーン分類の組み合わせに基づく企業数です。
95.2%が1〜2レイヤーに集中
1,030社・組織のうち、1レイヤーに分類されたのは672(65.2%)、2レイヤーは309(30.0%)でした。合計981、全体の95.2%が1〜2レイヤーに集中しています。3レイヤーは45、4レイヤーは3、5レイヤーは1にとどまりました。
- 1レイヤー 672(65.2%)
- 2レイヤー 309(30.0%)
- 3レイヤー 45(4.4%)
- 4レイヤー 3(0.3%)
- 5レイヤー 1(0.1%)
- 1〜2レイヤー合計 981(95.2%)
フィジカルAIは、一社完結よりも専門プレイヤーの接続で成立する
一社がAI・センサー・ハードウェア・ロボット・SI・運用までを一気通貫で提供する垂直統合型よりも、各社が特定の機能に専門化し、複数企業を組み合わせてシステムを構築する構造が中心であることを示しています。専門分化された産業では、単独企業の技術力だけでなく、異なる技術を接続し、現場要件に合わせて統合する能力が重要になります。SIレイヤーに227社が存在することも、この「接続」の重要性と整合的です。
企業数の分布だけから因果関係を断定することはできません。本ページの数値は本DB内における構成を示すものです。
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厚い既存ロボティクス基盤と、薄いAI・基盤モデル層
本DBの供給企業896社のうち、AI・基盤モデルレイヤーに分類された企業は12社(1.3%)でした。これに対して、認識・センシング247社、システムインテグレーション227社、ロボット本体147社と、既存のロボティクス・FA産業と連続するレイヤーには多数の企業が分類されています。
注:いずれも供給企業896社に付与された機能レイヤーの企業数です。企業数は重複を含み、レイヤー間の単純合計は分析対象企業数と一致しません。
この分布から、産業全体の技術水準や競争力を結論づけることはできません。企業数は市場規模や競争力を表さず、データベースの収録範囲にも影響されるためです。一方で、少なくとも本DBでは、フィジカルAIの「知能」を担うAI・基盤モデル層を主要機能とするプレイヤーは、既存ハードウェア・実装層に比べて少数です。
今後の産業変化を観察する上では、既存のセンシング、ロボット、SI基盤と、新しいAI・基盤モデル層がどのように接続されるかが重要な論点になります。
本DBでは、既存の認識・ロボット・SI層に比べ、AI・基盤モデルを主要機能とするプレイヤーはまだ少数です。企業数は市場規模・競争力を示すものではなく、この分布から産業全体の技術水準を評価することはできません。
データから見えるフィジカルAI産業構造
今回の供給側データベースからは、フィジカルAI産業を理解する上で4つの構造が浮かび上がります。
| 構造 | データから見える特徴 |
|---|---|
| 01 本体中心ではない | 認識・センシング247社、SI227社がロボット本体147社を上回る。 |
| 02 実装・支援層が大きい | 供給企業896社のうち381社(42.5%)がImplementationまたはSupporting Supplier。 |
| 03 専門分化している | 1,030社・組織の95.2%が1〜2のバリューチェーンレイヤーに集中。 |
| 04 AI層はまだ小さい | AI・基盤モデル12社に対し、認識247社、SI227社、ロボット本体147社。 |
既存産業の「置き換え」ではなく「接続」として見る
フィジカルAIは、まったく新しい産業が既存のロボティクス・FA産業を置き換えるというより、これまで蓄積されてきたセンシング、ロボット、部品、SIの産業基盤に、新たなAI技術が接続していく過程として捉えることができます。
今後、その接続がどの技術領域で進み、どの業界で実装され、どの企業群が橋渡しを担うのかを継続的に観察する必要があります。
次回以降のレポートでは「技術」「業界」「実装主体」の3つの切り口で分析
次回以降のレポートを通して、フィジカルAI産業の構造変化を継続的に観測していきます。掲載タイトルは予定であり、公開内容は変更となる場合があります。
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- 産業構造の把握
- 新規事業開発
- 協業先探索
- サプライヤー調査
- 競合調査
- 社内共有
調査方法・分析上の留意点
本レポートは、株式会社Listerが独自に収集・整備した「フィジカルAI関連企業データベース」をもとに、2026年8月時点の産業構造を分析したものです。
企業の公式Webサイト、製品・サービス情報、プレスリリース等をもとに、企業ロール、バリューチェーン、供給企業区分、技術、対象業界などを分類しています。
-
企業数は市場規模ではない
本ページに掲載する企業数は、株式会社Listerが収集・整備した独自データベース内の分類件数であり、売上高、市場シェア、市場規模、企業価値、技術的優位性を表すものではありません。
-
複数レイヤーへの分類がある
1社が複数の機能を提供している場合、複数のバリューチェーンレイヤーを付与しています。そのため、各レイヤーの企業数を単純合計しても分析対象企業数とは一致しません。
-
「フィジカルAI」の名称使用企業だけを対象としない
フィジカルAIという名称を明示している企業だけでなく、ロボティクス、センシング、制御、AI、自動化、SIなど、産業を構成すると判断した関連企業を広く含みます。
-
市場全体の完全な母集団ではない
独自調査によるデータベースであり、日本および世界の関連企業を完全に網羅したものではありません。企業数の比較は本DB内における構成を示します。
Appendix 分類定義
Appendix A 企業ロール分類(15分類)
企業ロールは「その企業・組織は何者か」を表す分類で、各企業にPrimary Roleを1つ設定しています。複数の役割を持つ場合はsecondary roleも保持しますが、企業ロール別の集計はPrimary Roleを使用しています。
| Code | Role | 定義 |
|---|---|---|
| ROLE_01 | AI・基盤モデル開発 | ロボットAI、基盤モデル、VLA、学習技術などを主要機能として提供 |
| ROLE_02 | ロボット・機器メーカー | ロボットや自動化機器など完成製品を開発・製造 |
| ROLE_03 | 部品・ハードウェア供給 | モーター、減速機、アクチュエーター、機械・電子部品等 |
| ROLE_04 | センサー・知覚技術供給 | カメラ、LiDAR、力覚、計測、画像認識等 |
| ROLE_05 | ソフトウェア・制御基盤 | ロボットOS、制御、シミュレーション、デジタルツイン等 |
| ROLE_06 | SI・システムインテグレーター | 複数機器を統合し、顧客現場へ個別システムとして導入 |
| ROLE_07 | 自動化・マテハンソリューション | AMR・AGV、自動倉庫、物流・FA自動化等をソリューション提供 |
| ROLE_08 | 商社・販売・ディストリビューター | ロボット・FA機器等の販売、代理店、ディストリビューション |
| ROLE_09 | クラウド・通信・IT基盤 | クラウド、通信、IoT、エッジ、データ基盤等 |
| ROLE_10 | 運用・保守・RaaS | 導入後の運用、保守、遠隔支援、RaaS等 |
| ROLE_11 | 導入企業・エンドユーザー | 自社利用・導入が中心で、外部供給を主要機能としない |
| ROLE_12 | 研究機関・大学・業界団体 | 研究、標準化、産学連携、業界活動等 |
| ROLE_13 | 投資・金融 | 投資、ファイナンス等 |
| ROLE_14 | コンサルティング・専門サービス | 導入前支援、コンサル、認証、専門サービス等 |
| ROLE_15 | その他 | 上記に該当しないもの |
Appendix B バリューチェーン分類(19レイヤー)
バリューチェーンは「どの機能レイヤーを担うか」を表す分類で、1社に複数レイヤーを付与できます。
| Code | Value Chain | Code | Value Chain |
|---|---|---|---|
| VC_01 | AI・基盤モデル | VC_02 | 学習データ・シミュレーション |
| VC_03 | 認識・センシング | VC_04 | 制御・ロボットOS |
| VC_05 | 計算基盤・半導体 | VC_06 | 駆動・アクチュエーター |
| VC_07 | ハンド・エンドエフェクタ | VC_08 | 機械・構造部品 |
| VC_09 | ロボット本体 | VC_10 | 自動化・マテハン |
| VC_11 | システムインテグレーション | VC_12 | 販売・ディストリビューション |
| VC_13 | クラウド・通信・データ基盤 | VC_14 | 運用・保守 |
| VC_15 | 導入・利用 | VC_16 | 研究・標準化 |
| VC_17 | 資本・金融 | VC_18 | コンサル・認証・専門支援 |
| VC_19 | その他 |
Appendix C Supplier Type
| Type | 定義 |
|---|---|
| core_supplier | 中核的な技術・製品・ロボット・部品・ソフトウェア等を供給 |
| implementation_supplier | SI、導入、流通、現場実装などを主に担う |
| supporting_supplier | クラウド、通信、IT基盤、コンサル等の周辺支援 |
| non_supplier | 自社導入・研究等が中心で、外部供給企業として扱わない |
引用・転載について
調査・編集:株式会社Lister
データソース:フィジカルAI関連企業データベース
調査時期:2026年8月
本レポートの数値・図表を引用する場合は、「株式会社Lister『フィジカルAI産業構造・バリューチェーンレポート2026』」と出典を明記してください。
本レポートは公開情報を基に株式会社Listerが独自調査・整理したものです。内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。
会社概要
| 会社名 | 株式会社Lister |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 永良 慶太 |
| 所在地 | 〒108-0075 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー8F |
| 事業内容 | 製造業領域に特化した市場情報調査・データ提供基盤の開発 |
| 取引銀行 | 三菱UFJ銀行 品川駅前支店 |
| 公式URL | https://lister.jp/ |
| お問い合わせ | maker@lister.jp |
代表プロフィール
永良 慶太
東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了。
株式会社キーエンスに新卒入社。三次元測定機やレーザー顕微鏡などの開発に携わる。画像処理アルゴリズム開発や、工場における検査自動化プロジェクトに従事。その後、ロボット開発スタートアップにて経営企画に従事し、独立。
株式会社Listerを創業後、ITサービス開発を主軸に、BtoB企業向けの営業・マーケティング支援、企業データ整備・提供を行う。現在は、製造業領域の企業情報を活用しやすいデータとして整備・提供する取り組みに注力している。